知床
登録年 2005年 登録基準(ⅸ)(ⅹ)自然遺産
北海道
登録基準
●登録基準(ⅸ)
季節海氷による活発な生物活動が見られる知床は、海、陸、川の相互作用のある生態系の見本。
●登録基準(ⅹ)
オホーツク海に突き出すように延びた半島で、中央に知床連山がそびえ知床では、東西で気温、降雨量に大きな違いがある。その多彩な自然環境は、生物多様性の保全にとって、最も重要な生育・生息域を包括。
概要価値
知床は北海道の北東端に位置する、長さ約70km、基部の幅約25kmの細長い半島。近海は地球上で最も低い緯度で海氷が結氷する「季節海氷域」に位置。季節海氷(流氷)は、周辺海域に豊かな海洋生物を育む大きな要因。また暖流の宗谷海流と寒流の東樺太海流の境界性に位置することで多種多様な魚類や海藻類が生育する理由になっている。
https://www.osaka-c.ed.jp/kitasenri/40/hokkaidou3/hokkaidou.html
そこから起きる海、陸、川に及ぶ独特な食物連鎖は、地球上のほかの地域では見られない、極めて稀な例とされている。
遺産の概要
①歴史的背景
知床半島に人が住み始めたのは、およそ1万年前頃と考えられている。約1200年前に大陸方面からオホーツク海沿岸を南下した海洋狩猟民族が知床に到達。さらに800年前から北海道全域で生活していた別の民族との吸収同化が進む。そのなかで生まれたのが、アイヌ民族と考えられている。
アイヌ民族はシマフクロウやシャチ、ヒグマを神として崇敬する独自の信仰のもと、自然と共生した狩猟採集文化を育んでおり、130年前まで手つかずの自然が保持されていた。
明治に入ると、北海道の各地で開拓が進んだが、知床半島は厳しい自然環境のため影響をほとんど受けなかった。その後、知床の内陸部でも開拓が進み、1914年、1935年、1949年の3度にわたり入植が試みられたが、いずれも失敗、1966年までに全ての開拓者が撤退している。1964年、「自然公園法」に基づき国立公園に指定された。1977年、開拓地跡を森林に復元する「しれとこ100平方メートル運動」がスタートし、日本最初のナショナルトラスト運動として大きく発展。
②地形と気候
知床連山が東西を分断するように走っている。そのため、東西では気候が違う。
西のウトロ
・海岸線には100万年前から堆積した火山噴出物が侵食され海食崖となっている。
・知床連山から吹き下ろす風によって生じるフェーン現象と暖流であるオホーツク海流の影響で気温が高く、降雨量は少ない。
・観光業が主要。
東の羅臼
・なだらかな海岸線。
・太平洋から吹きこむ湿った南東風が知床連山にぶつかり雨が多く、海霧が発生し気温が低い。
・漁業が主要。
過去問にチャレンジ
2017年12月検定 1級問題
【問69】
『知床』の「知床半島」の説明として正しいものはどれか
①知床半島中央部には、最高峰ウトロ岳をはじめとする知床連山がある。
②知床半島は、北米プレートに太平洋プレートが滑り込むことで生じた隆起と火山活動によって形成された。
③羅臼側の海岸は、100万年前から堆積した火山噴出物が波浪と海水によって浸食された「海食崖」が続いている。
④知床半島の陸地部分は全て「プロパティ(核心地域)」に指定されており、「バッファー・ゾーン(緩衝地帯)」は海域に設定されている。
解答 答えは②
①最高峰は羅臼岳(1660m)である。
③の説明はウトロ側の説明である。
④は写真の通りでバッファー・ゾーンには陸地と海域がある。
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2017年12月1級問題
【問70】
『知床』とほぼ同じ緯度にある世界遺産として、正しくないものはどれか。
①ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋) ②サン・マリノの歴史地区とティタノ山
③ルーネンバーグの旧市街 ④始皇帝陵と兵馬俑坑(へいばようこう)
解答 答えは④
知床は北緯44度に位置している。
①は北緯43.95
②は北緯43
③はカナダの町で北緯44.378
④は中国中央部、西安にあり北緯34
2016年7月1級問題
【問30】
「知床」に関する次の文中の空欄に当てはまる語句として、正しいものはどれか
知床の食物連鎖は、季節海氷がもたらす栄養分の循環によって生じる( )に端を発しており、そこから海洋生態系と陸上生態系が相互に関係するダイナミックな生態系が生まれている。
①サケやマスの大移動
②キタキツネやヒグマの海岸への大移動
④オヒョウやオオカミウオなど魚類の大量発生
解答 答えは③ 正答率97.2%の問題 なんとなくでも解ける問題だね。
冬になると海氷下で生じる低温の濃塩水(ブライン)の降下により活発化した対流で、海中の下層や海底付近に蓄積されている栄養塩が海水面付近まで押し上げられる。そのため、海氷の氷解が始まる早春頃になるとアイス・アルジーをはじめとする植物プランクトンが大増殖。
↓
それを餌にするオキアミや小エビなどの動物プランクトンの増殖
↓
それを餌にする小魚や貝類が繁殖
↓
近海にはそれら小動物を捕食するサケやマスなど大型回遊魚やアザラシなどの海生哺乳類、さらにはオオワシ、オジロワシなどが集まる
↓
さらに産卵のため河川を遡上するサケやマスが、森林に生息するキタキツネやヒグマ、シマフクロウの餌となる
2016年12月1級問題
【問33】
登録基準(ⅹ)が認められる『知床』に関する以下の文中の語句で正しくないものはどれか。
知床は、暖流の(①宗谷海流)と寒流の(②東樺太海流)の境界線に位置するため、近海には多種多様な魚類や海藻類が生育している。冬になると海氷下で生じる低温の濃塩水「(③ジールス)」の降下によって海中の対流が活発化し、そこから(④植物プランクトン)が大量発生することで、大規模な食物連鎖が起こる。
解答 答えは③
7月の問題でも触れた内容。ジールスではなくブラインという言葉が正解だよ。
観光
知床八景がやはりおススメ!
オシンコシンという名前はアイヌ語の「川下にエゾマツが群生するところ」を意味する「オ・シュンク・ウシ」から転じた。国道334号沿いにあり、滝と駐車場の位置が近いことから、観光バスも立ち寄ることが多い。
②オロンコ岩
斜里町ウトロのウトロ港にある高さ約60メートルの巨岩。当地の先住民族「オロッコ族」が由来。
③夕陽台
④プユニ岬
ウトロ港から東3.5kmのオホーツク海に面する岬。流氷の最初の接岸地、水平線に沈む夕陽の名所として知られる。
プユニはアイヌ語で「穴のある場所」のこと
⑤フレペの滝
知床連山を源とする地下水の滝で、流入河川を持たないため水量が少なく、高さ約100メートルの断崖の割れ目から染みだした水が涙の雫のように斜面を流れ落ちる様子から「乙女の涙」という愛称で親しまれる。
フレペはアイヌ語で「赤い水」のこと
⑥知床峠
羅臼町と斜里町の境にある国道334号の峠。標高738メートル。気候の変化が著しく、雪崩やがけ崩れなど道路管理に厳しい条件となっており、降雪により北海道内で唯一通行止めになる。(冬期間:概ね10月下旬から4月下旬)
峠頂上部より羅臼側標高650メートル地点は見返り峠と呼ばれており、ヘアピンカーブが続く。
⑦知床五湖
斜里町のカムイワッカ川にかかる滝。滝自体が温泉になっている。正式にはカムイワッカ湯の滝で、このカムイワッカ湯の滝の約1km下流に、カムイワッカ川の水が直接、オホーツク海に落下するカムイワッカの滝がある。こちらは陸路では近づけない。
カムイワッカはアイヌ語でカムイ=神、ワッカ=水の意で、川の温泉成分が強い硫黄成分を含むため、生物が生息できない「魔の水」の意味として解釈。
2005年に世界遺産登録されてから、観光客が急増。落石の危険もあることから立ち入り規制が行われるようになった。
宿泊
職場の知人に聞くと、やっぱり第一という意見が多かった。私は知床の北こぶしというホテルには泊まったことがある。知床第一ホテルもいつか行きたいと思いながら、子供が生まれてからはなかなか行けていません。どちらのホテルも知床では人気が高いホテルです。知床第一ホテルといえばバイキングが有名。