グレート・バリア・リーフ
登録年:1981年 登録基準:(ⅶ)(ⅷ)(ⅸ)(ⅹ)
いわずもがな世界最大のサンゴ礁である。
オーストラリア北東の海岸に沿うように、全長約2,300㎞にわたって広がる。
サンゴ礁が形成され始めたのは、約1,800万年前だといわれる。
その後、氷河期を経て、現在目にできるサンゴ礁が誕生したのは約8,000~6,000年前と言われている。
もともとはアボリジニーの漁場だったが、1770年に「キャプテン・クック」の名で有名なジェームズ・クックがこの地で座礁したのがきっかけで、その存在が世界中に知られることとなった。グレート・バリア・リーフの名は、1802年に英国の探検家マシュー・フリンダーズがこのサンゴ礁の脇を航海した際に名付けたという。
魚の数だけでも、1,500種を数えるこの海域には、ほかにも約4,000種の軟体動物や海綿動物、甲殻類、海生の虫類など多様な生態系が確認されている。これは、サンゴ礁が外敵から守る役割を果たすことから、多くの海洋生物の安住の地となっていることを示している。
そして、サンゴ自体も生物であり、ポリプという構造を持った造礁サンゴの集合体である。サンゴは、イソギンチャクなどと同じ刺胞動物に属す。サンゴは有精生殖のため、毎年、春になると放精を行う。そのため、一帯の海が白く染まるという現象が起こる。
その光景は、アボリジニーが超自然現象が発生したと考えたほど。
サンゴは死に絶えると石灰質の体のため海に沈殿する。それが岩の周辺などに固まり、海面を越えるほどに達すると鳥の休息所となる。その後、鳥のフンにまみれ、植物が芽を出すと地面が安定し、小島が形成される。こうした行程を踏んで生まれた、大小様々なサンゴ島がグレート・バリア・リーフの海域には約600ほどあるという。
テオティワカンの古代都市
登録年:1987年 登録基準:(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
メキシコ・シティの北東約50kmに位置するテオティワカンは2~8世紀中ごろに栄えた古代都市。築いた民族はいまだに不明、BC2世紀頃から小集落が統合し始め、大規模な都市に発展したという。350~650年頃に最盛期を迎え、都市域は36㎦を超え、人口およそ15万人を抱える大都市になった。遺跡からは400以上の黒曜石の加工場が見つかっており、黒曜石の交易を独占したことが繁栄につながったと考えられている。
8世紀の中ごろには廃墟と化したが、14世紀頃に、メシーカ人が侵入すると、この地を神々が集い、月と太陽を創造した聖地であると解釈。そこから「神々が集う場所」を意味する「テオティワカン」と命名し、聖地として利用した。
16世紀にアステカ帝国を征服したスペイン人たちはこの遺跡の意味を理解できなかった。1884年から発掘調査が行われているが、現在でも10分の1程度の発掘しかできておらず、広大な都市部の大半はいまだ地中の中にある。
テオティワカンには、太陽のピラミッドや月のピラミッドなど約600基のピラミッドや、ジャガーの宮殿などが整然と建設されている。ほとんどの建造物の基壇は、「タルー」と呼ばれる傾斜した石壁と、「タブレロ」と呼ばれる垂直な石壁を交互に積み上げて造られており、この建築様式を「タルー・タブレロ式」という。
83cm(手の先から心臓までの距離)が基準とされており、その長さで計画的に建設された都市である。
遺跡の南部にあるラ・シウダデラ(城塞)と呼ばれるアメリカでも最大規模の儀式場跡には、ケツァルコアトル(=羽毛の生えたヘビ)のピラミッドがあり、外壁には雨と雷の神トラロックと創造と文化の神ケツァルコアトルがまつられている。
2003年、この神殿の正面に縦穴が見つかり、さらに神殿に向かう100m以上のトンネルが見つかっている。
また、この遺跡からはマヤ文明の壁画やヒスイなどが見つかっており、マヤ遺跡のピラミッドからもテオティワカンの黒曜石などがみつかっており、1000km以上も離れているが、交易があったと考えられている
マヤ文明:紀元前後から16世紀頃までメキシコ、グアテマラ、ホンジュラスなどに展開した文明。3~9世紀頃に強い勢力があった。
マデイラ島の照葉樹林 2022.3.17
登録年:1999年 登録基準:(ⅸ)(ⅹ) 自然遺産 ポルトガル共和国
リスボンから南西約1,000km、大西洋上にあるポルトガル領マデイラ島の照葉樹林は、約6,500万~170万年前という、氷河期以前の太古の姿を残した森林地帯である。
マデイラ島中央部、標高600~1,300mの山岳部にあり、島が形成された第三紀の植物分布を残した極めて貴重な地域。約200㎦に及ぶ自然保護区のうち、約150㎦が世界遺産。500種以上の無脊椎動物や、66種の維管束植物など島固有の動植物が多数生息、生存。
マデイラ島は大西洋の真珠と呼ばれる美しい島。人口は約27万人。島の大きさは日本の奄美大島よりやや大きいくらい。火山島であり、海底から4,000m、最高峰はピコルイヴォ(標高1,862m)。海底から換算すると実に5,800mにも及ぶ。
人口の半分近くは南のフンシャルという街に住んでいる。
サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手の出身地でもある。
サッカーをよく知らない人でも顔を見れば、なんとなくわかる。それくらい有名な選手ですよね。
マデイラ島は北側は霧が多く、南は乾燥している。北から中央にかけて発生する霧を照葉樹林が水として、地中に落とし、総延長2,000kmにも及ぶ島全体に巡らされた水路がその水を南の乾燥地域に運ぶ。南側には段々畑などもあり、ブドウ栽培なども行われている。まさに、自然の恵みの恩恵を受けながら、生活をしている。
いつか行ってみたいですね。
ポン・デュ・ガール 2022.4.10
登録年:1985年/2007年範囲変更 登録基準:(ⅰ)(ⅲ)(ⅳ)
ガルドン渓谷のガール川に架かる、BC19年頃に古代ローマの政治家アグリッパが建造を命じた。アヴィニョン近隣の水源地ユゼスにあるウールの泉からネマウスス(現在のニーム)に水を引く目的で建設された全長50kmにわたる水路の一部で、保存状態の良い275mの水道橋が世界遺産に登録。
水源地と供給地の高低差はわずか12mほど(1kmにつき平均25cmの傾斜)しかないにも関わらず、緻密な設計と技術でポンプを用いずに1日2万㎥もの水をニームに供給した。
この地域では良質な石灰岩(白亜紀の時代のもの)が採れ、3層のアーチとなっており(アーチ工法は古代ローマ人が得意とした技術)、川面から最上部まで49mあり、現存する世界一高い古代水道橋である。
イグアス国立公園 2022.4.3
登録年:アルゼンチン1984年、ブラジル1984年 登録基準:(ⅶ)(ⅹ)
アルゼンチンとブラジルの国境を流れるイグアス川の沿岸約2,200㎦にまたがる『イグアス国立公園』は、イグアスの滝がある広大な熱帯雨林。
1934年にアルゼンチン、1939年にブラジルで個別に国立公園となり、
1984年にアルゼンチン側550㎦、1986年にブラジル側1,700㎢が別の世界遺産として登録された。面積は圧倒的にブラジル側広いが、滝の8割はアルゼンチン側に存在。
セラドマル山脈を源流とする全長約1,200㎞のイグアス川は、パラグアイのパラナ川に合流する手前で大きく屈曲そ、切り立った崖から大小275の滝となって流れ落ちる。この密集地帯がイグアスの滝と呼ばれ、全体の幅は2,700m以上、最大落差80mで世界最大の水量。
➡世界3大瀑布:一般的にイグアスの滝、ヴィクトリアの滝、ナイアガラの滝の3つ。
イグアスとは、先住民グアラニ人の言葉で「巨大な水」を意味する。
雨季には毎秒6万5,000tにも及ぶ水が流れ落ちる。
なかでも馬蹄形のイグアスの滝最奥部にある滝は、「ガルガンタ・デル・ディアブロ(悪魔ののど笛)」と呼ばれており、この滝だけで毎秒7,000tの水量がある。
ヤバすぎる絶景!イグアスの滝を旅するための20の役立つアドバイス | どこいく?×トリップアドバイザー
世界の鉄道スペシャル 2022.3.27
今回紹介された鉄道は全部で8鉄道。
- ①フォース鉄道橋(イギリス)
- ②ブダペストの世界初、電気式の地下鉄(ハンガリー)
- ③ジャイアンツ・コーズウェイにある海岸電車(イギリス)
- ④デュランゴ&シルバートン(アメリカ)
- ⑤テキーラ・エラドゥーラ・エクスプレス(メキシコ)
- ⑥レ―ティッシュ鉄道(スイス)
- ⑦ダージリン・ヒマラヤ鉄道(インド)
- ⑧ゼメリング鉄道(オーストリア)
①フォース鉄道橋(イギリス)
登録年:2015年 登録基準:(ⅰ)(ⅳ)
イギリス、スコットランド東部のフォース川河口にかかる全長2,529mの鉄道橋。世界で最初期に造られた複数接合式のカンチレバー橋。1890年に開通。鉄道が唯一の長距離移動手段であった時代の、設計や建設の発展における重要な指標であると共に、産業遺産の造形美からの評価も高い。
フォース鉄道橋の観光情報(歴史・料金・行き方・営業時間) - HowTravel
②ブダペストの世界初、電気式の地下鉄(ハンガリー)
ブダペストはドナウ川西岸のブタ地区と東岸のペスト地区からなる。ドナウ河岸とブタ城地区、アンドラーシ通りが世界遺産になっている。そのアンドラーシ通りの深さ3mの所に世界初、電気式の地下鉄が存在する。
『ブダペスト 世界遺産の地下鉄と地下鉄博物館』ブダペスト(ハンガリー)の旅行記・ブログ by モボ101さん【フォートラベル】
③ジャイアンツ・コーズウェイにある海岸電車(イギリス)
アイルランド島北端の海岸線に位置するジャイアンツ・コーズウェイは、約6,000万年前に地殻変動でできた正六角形をした約4万本の玄武岩の石柱が約8kmにわたって連なる海岸。その海岸線に向かうための観光電車で140年前にできた。
ジャイアンツ・コーズウェイ ( | 世界遺産探訪 | 趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)
④デュランゴ&シルバートン(アメリカ)
アメリカコロラド州で、デュランゴとシルバートンを結ぶ。全長72km。
もともとはサンファン山地にある鉱山へ物資と人を運び、金と銀の鉱石を搬出するために建設された。
デュランゴ&シルバートン狭軌鉄道 | アメリカ 旅行 観光 情報サイト|Link-USA
⑤テキーラ・エラドゥーラ・エクスプレス(メキシコ)
メキシコ中西部のテキーラ地方には、18世紀に建てられたテキーラの醸造施設が残る。16世紀に入植したスペイン人によってテキーラ酒の大量生産が始められ、19世紀以降、生産量が増加した。テキーラ酒の原材料はアオノリュウゼツラン。古くから発酵飲料や織物などの原料で用いられた。そのテキーラ村を走っている電車。
本場メキシコならでは!テキーラ飲み放題の観光列車を発見!|TBSテレビ
⑥レ―ティッシュ鉄道(スイス)
「アルブラとベルニナの景観とレ―ティッシュ鉄道」として世界遺産に登録・
登録年:2008年 登録基準:(ⅱ)(ⅳ)文化遺産
アルプス山脈を越える鉄道。アルプス越えは新石器時代からの人類の重要な課題であり、19世紀に近代的な技術により徐々に整備が進んでいった。
ベルニナ線のブルージオ橋は有名。
ループ線マニア 世界の山岳鉄道愛好会: 欧州㉔レーティッシュ鉄道ベルニナ線ブルージオループ橋 海外のループ線といえばこれ
⑦ダージリン・ヒマラヤ鉄道(インド)
「インドの山岳鉄道群」として世界遺産登録。ダージリン・ヒマラヤ鉄道、ニルギリ鉄道、カールカ=シムラ―鉄道の3つの路線が対象。現在も現役。
ループ線マニア 世界の山岳鉄道愛好会: アジア⑨ダージリンヒマラヤ鉄道 マニア的には物足らないが有名すぎて外せない
⑧ゼメリング鉄道(オーストリア)
世界初のアルプス越え鉄道。オーストリアの首都ウィーンから南西へ約100km離れたグログニッツとミュルツツーシュラークを結ぶ。1854年に完成。ゼメリングとは標高995mの峠の名前。全長41.8km。
武当山の道教寺院群 2022.3.20
登録年:1994年 登録基準:(ⅰ)(ⅱ)(ⅵ)文化遺産
湖北省武当山(ぶとうさん)は、道教の神である真武大帝が修行した場所であり、漢時代以来の道教の聖地である。全長60kmの参道沿いに、32を数える寺院群が建築。
7世紀の唐から建築が始まり、規模を拡大していったが、元の末期に戦火で焼失、15世紀前半に明の永楽帝によって再建された。
山内最高峰の天柱峰(1612m)の頂には黄金を300kgも使った金殿が作られ、真武大帝が祀られている。
伝説的には、黄帝が開祖、老子がその教義を述べ、後漢の張陵が教祖となって教団が設立されたと語られることが多い。
仏教はインドから伝わり、儒教は孔子が始祖。道教は最も古いといわれる。
道教には「元始天尊」という最高神をはじめ多くの神様がいる。その中の1人が「真武大帝」であり、この神様が四神(玄武、朱雀、白虎、青龍)の玄武と同じとされている。
玄武はもともと「玄瞑」という名前で、道教においてはやがて北極星が神格化した「北極紫微大帝(北斗真君」の四大神将のひとつとなる。つまり、方位を司る霊獣の四神からひとり離れ、天上の将軍になる。北極紫微大帝は、最高神の第5の化身とされ、自然界の様々な現象やすべての鬼神を統治する神様であり、玄武は武神となってその支配下におさまる。その後、北斗真君や北極星への崇拝が高まると、玄武の地位は上がり、宋の時代(960~1279年)には真武大帝になって、明の時代(1368~1644年)には「玄天上帝」という位に就き最高位の武神となる。
四神といえば昔の漫画である幽遊白書のイメージがあります。
東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武。
「青龍、白虎、朱雀、玄武」←こいつらの存在をどこで初めて知った? | にじログ
記憶の限りでは、朱雀が一番強い印象で、次が青龍、玄武と白虎は横並びのイメージ。
しかし、実際の四神の中では北に位置する玄武が最も出世していくのですね。
北極星は動かない星として、中国でそうだし、日本であれば、徳川家康が江戸城から北に位置する日光に霊廟を作り、その先に北極星が位置するように作ったことが知られています。