メンフィスのピラミッド地帯 2023.10.8(日)
登録年:1979年 登録基準:(ⅰ)(ⅲ)(ⅵ)
ピラミッドといえば、日本の仁徳天皇陵古墳、中国の秦の始皇帝陵と並び世界三大墳墓の1つと言われるほどの巨大な墓である。ピラミッドの中で一番高いのがクフ王のピラミッドである。3つ並んで前にスフィンクスが座っているというよく目にする光景の1つがクフ王の墓である。
ギザの三大ピラミッド クフ王のピラミッドは世界最大の墓! | 世界をまたぐ ~自分の可能性を信じて~
エジプトの首都カイロ近郊、ナイル川西岸にあるメンフィスのピラミッド地帯は古代エジプト古王国時代の王たちがつくった巨大な建造物のある地域。
王国の首都だったメンフィス周辺のギザからダハシュールにかけて、約30のピラミッドや建造物が点在している。ピラミッドを初めて建造させたのは、古王国時代第3王朝のジェセル王である。それまでは日干しレンガなどでマスタバと呼ばれる角形の墳墓をつくっていた。しかし、ジェセル王は、宰相イムホテプに命じ、それまでにない墓をつくらせることにした。それがピラミッドの始まりであった。その後の王たちは、競うようにピラミッドを造営。
第4王朝のスネフェル王は、在位中に屈折ピラミッドや赤のピラミッドなど3つも建造したともいう。さらに、次のクフ王の時代には、現存する最大のピラミッドが築かれた。そして、息子のカフラー王、孫のメンカウラー王の巨大ピラミッドが建造されたが、その次のシェプセスカフ王は、自らの墓所としては簡単なマスタバを建造。
その後のファラオも小規模なピラミッドにとどめるようになり、ピラミッド時代は終わりをつげた。巨大なピラミッド建造は農閑期に人々を動員する一種の公共事業であったとさせる説もある。クフ王のピラミッドには3万とも10万ともいわれる人々が従事したとされるが、多くの労働力のみならず、大きな財源も必要とした。この辺りがピラミッドの終焉の理由の1つではないかとされる。
2019年にサッカラという地域の墳墓で貴族である「クウイ」という人物のミイラが見つかった。密閉された地下空間は風化されることなく保存されていたため、4300年前の色のついた壁画が残っており、その壁画にクウイと記されており、極めて貴重なミイラや壁画が発見された。