クイーンズランドの湿潤熱帯地域 2023.10.15(日)
登録年:1998年 登録基準:(ⅶ)(ⅷ)(ⅸ)(ⅹ)
世界太古の森とも言われる地域。恐竜がいた時代からの森が存在する。クイーンズランドの湿潤地域はかつての巨大なゴンドワナ大陸が切り離され、オーストラリア大陸ができた。オーストラリア自体は乾燥化が進むが、クイーンズランドは南北にそびえるグレート・ディヴァイディング山脈によって海から運ばれた湿った風が上昇気流を生み、年間雨量1,200~1,900mmに上る多量の雨が降り注ぐ熱帯雨林。南北450kmにも及び、総面積9,000㎢以上で東京都の4倍を超える。
この湿潤熱帯地域には800種類以上の樹木が生育し、1億2,000万年前のシダ植物から裸子植物、被子植物へと進化した過程が見られる。
また、オーストラリア大陸の有袋類のうち約30%以上の種類がこの森に生息。
木に登る珍しいカオグロキノボリカンガルーや最も原始的な有袋類とも呼ばれるネズミのようなニオイネズミカンガルー、岩場に住むマリーバイワワラビーなど多くのカンガルーがいる。
グレート・ディヴァイディング山脈と貿易風の関係でもたらされる多量の雨は多くの植物を守り、そして多くの栄養を含んだ水は川からやがて海へと流れ出る。その栄養のある水は海のサンゴ礁の成長にもつながった。クイーンズランドの森に沿った沖合に世界最大のグレートバリアリーフが存在する。
旅の拠点はやはりケアンズ。もともとは先住民族のアボリジニーが住んでいたが、イギリス人が入植した。その後、農業用地の開墾も進んだ。クイーンズランドの森も開墾によって多くの森林伐採が進み、生態系が破壊された。しかし、その後森を守るという活動が広まり、植林活動は今も続いている。