白神山地

登録年:1993年  登録基準(ⅸ)  自然遺産

青森県秋田県

 

登録基準

●登録基準(ⅸ)

日本固有種のブナが純林をなし、原始性の高い状態で分布している、ほかに例をみない地域。同じようにブナの純林があるのは、ヨーロッパだけ。しかし日本のブナ林の植物相の多様性はヨーロッパの5~6倍(白神山地では500種以上の植物)。

※ヨーロッパの「カルパティナ山脈と他のヨーロッパ地域のブナ原生林」が世界遺産に登録されている。12か国にまたがる遺産となっており、現存するヨーロッパブナの原生林としては世界最大。

 

遺産価値

青森と秋田にまたがる標高100mから1,243mに及ぶ山岳地帯の総称を白神山地と呼ぶ。総面積1,300㎢のうち、登録範囲は169.71㎢である。その大部分を占めているのが人の手が入っていない原生的なブナ林である。日本では照葉樹林と並ぶ代表的な極相林(=植物群落としての成長が進み、全体としての植物の種類や構造が大きく変化しなくなった森林)であるブナ林だが、ほとんどの地域では薪材などとして伐採が進んだが、白神山地は集落から遠く、地形が急峻だったなどの条件が重なり、長い歴史でほとんど伐採が行われなかった。白神山地は動物たちのサンクチュアリとも呼ばれる。

●地層と地形

地質は第三紀層で一部に古生層や花崗岩が露出。30度以上の急傾斜地が半分以上。現在の白神山地が広がる地域は、約259万年前まで一部が海中。その後、年間1.3㎜という日本列島のなかでも極めて早いペースでの土地の隆起が始まり、今でも続いている。隆起した地層の上層は海底時代の堆積岩で覆われており、崩れやすい特徴がある。さらに、日本でも有数の豪雪地帯で崩れやすい地層に大量の水分を含み、頻繁に地滑りが起こる。それが数多くの川や谷の形成につながり、山地の崩落を起こし、地形を複雑にした。

 

遺産の概要

●世界有数のブナ原生林

ブナ属の森林は日本以外に、ヨーロッパ、北アメリカ、中国、コーカサス山脈、台湾などにも分布。ブナの純林は、ヨーロッパにもあるが、薪炭の採集や放牧が行われ、植生は極めて単純。日本のブナの分布地域は氷河期でも氷河に覆われることなく、氷河後の回復も早かった。8000年前くらいには現在の分布地域になっていたと考えられている。

 

●植物相

ブナ以外にも豊かな植物相で秋田側で412種、青森側で506種の植物が確認。アオモリマンテマ(固有種)をはじめ、ツガルミセバヤ(準固有種)、ミツモリミミナグサ(準固有種)などの希少植物も含まれる。過去の氷期に氷河に覆われなかったため種の保存や移動、発達が進んだ地帯である「日華植物区系」に属する植物が大部分を占める。

 

●動物相

豊かな植生を背景に、大型哺乳類、鳥類、昆虫などが数多く生息。中型哺乳類では、多雪地帯では生息できないニホンジカやイノシシ以外は全て生息しているとされ、これまでに特別天然記念物ニホンカモシカをはじめとした14種が確認。鳥類84種、天然記念物のクマゲライヌワシも含まれる。そのほか爬虫類7種、両生類9種、昆虫2,212種の生息が確認。

 

過去問にチャレンジ!!

2017年7月1級問題 【問71】

白神山地」で見られる植物として正しくないのは

①トガクシショウマ

シラネアオイ

③メヒル

④リシリシノブ

 

 

解答 答えは③

①はメギ科の植物でトガクシソウ(戸隠草)の別名でトガクシショウマ(戸隠升麻)。日本固有種で本州の中部、北部に分布し、多雪地帯の、落葉広葉樹林に生育。

キンポウゲ科の植物でシラネアオイ(白根葵)。北海道から本州中北部の日本海にかけての山地帯と亜高山帯のやや湿り気のあるところに分布。

③はヒルギ科の植物でメヒルギ(雌蛭(漂)木)。潮間帯に生育する、マングローブ樹種のひとつで別名リュウキュウコウガイ(琉球笄)。日本では沖縄及び鹿児島に自然分布、静岡県の一部に植樹された群落が分布。日本が分布の北限。

④はホウライシダ科の落葉シダで、リシリシノブ(利尻忍)は北海道から本州、アジアの高山帯。

 

2017年12月1級問題【問46】

白神山地』でブナの天然林が残された理由のひとつとして正しいものはどれか。

①地形が急峻で山に入りにくかったため

②聖山として人々が山に入ることを禁じていたため

天領として入山には高い課税が課せられたため

④国鳥の生息域として保護されてきたため

 

解答 答えは①

 

2016年7月1級問題【問17】

白神山地』のブナの特徴である「極相林」の説明として正しいものはどれか

①植物群落としての成長が進み、全体としての植物の種類や構造が大きく変化しなくなった森林

②孤立した環境により、生態系バランスの偏った極端な植物相が見られる森林

③特定の樹木のみを保護するため、その他の植物を伐採して多様性を排除した森林

④氷河期以降の気候が安定したため、多様な植物が群生し常に変化を続ける森林

 

解答 答えは①

 

2016年12月1級問題【問84】

世界各地のブナの原生林は氷河期に大きく減少したが、『白神山地』のブナの原生林は残された。その理由として考えられるものとして、正しいものはどれか

①最終氷期の最寒冷期においても日本のブナの分布地域は氷河に覆われることがなかったため

②日本の東北地域は暖流が流れており、ヨーロッパを襲った最終氷期を免れたため

③ブナに寄生するツガルミセバヤやオガタチイチゴツナギなどが、氷河に覆われたブナの根を守ったため

白神山地の地滑りによって地中深くブナの種子が隠されており、最寒冷地においても気候の影響を受けなかったため

 

解答 答えは①

 

ブナ林散策道(バッファーゾーン)

⚫アクアグリーンビレッジANMON

↓ 徒歩10分

⚫ブナ原生林の湧水

↓ 徒歩5分

⚫小回りコースの案内板

↓ 徒歩15分

⚫大回りコース分岐

↓ 徒歩5分

⚫大きなブナの木の広場

↓ 徒歩10分

⚫山ブドウのつる

↓ 徒歩5分

⚫広場・ブナ林の説明板

↓ 徒歩15分

⚫大回りコース分岐

↓ 徒歩10分

⚫ブナ原生林の湧水

↓ 徒歩10分

⚫ANMON

アクアグリーンビレッジANMONは観光案内所。

 

 

アクセス

●鉄道

東京駅から新幹線(はやぶさ)で3時間半ほどで新青森駅。JR奥羽本線で30分ほどで弘前駅に到着。

●飛行機

羽田空港から1時間15分で青森空港。弘南バスで55分で弘前バスターミナルへ。

 

JR弘前駅から弘南バス田代経由大秋・川原平方面行きで55分、田代(西目黒村役場前)下車、シャトルバスに乗り換え40分、アクアグリーンビレッジANMON 下車、徒歩すぐ。

弘前バスターミナルから1日2便、ANMON行きシャトルバスあり。1時間30分。

 

宿泊

黒石温泉郷落合温泉 花禅の庄(かぜんのしょう)は全館畳敷きという足元からリラックスできそうな雰囲気。落合温泉は単純泉でリウマチや神経痛に効果。白神山地を散策した後でゆっくり空間は最高ですね。是非とも行ってみたい。